医療・介護保険料への金融所得の反映を考える
令和8年6月5日公布で、後期高齢者医療制度における金融所得の反映については公布後5年以内に施行されるようです。
後期高齢者医療ということは、今回の改正の対象者は75歳以上になりますが、『医療・介護保険制度における金融所得の公平な取扱いに関する関係府省庁会議』や『社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議』(税金と給付の話が主ですが、将来的な方向性の項目で金融所得に関することが出てきます)の資料や議事録等を読む限り、今回のみで終わり…とはならないような書き方をしています。
・・・ではあるのですが、「すべての公的医療保険の保険料に金融所得を反映させる」は実現に向けたハードルはかなり高いでしょうね。
特に被用者保険の場合、給与等に対する標準報酬月額で保険料を決定していますが、会社では把握できない金融所得をどう反映させるんでしょう?…私はこのあたりの実務を仕事でしていたので困難さはよくわかりますが…お役所等がやってくれる??それは非現実的なので厚生労働省が現時点では極めて困難と言うのも頷けます。
では、自営業、フリーランス、退職者等が加入する国民健康保険だけ金融所得を反映させるんでしょうか?それが実現してしまったらずいぶん不公平な話ですね。現状でさえ国保は扶養の概念がなく、配偶者や子供それぞれに保険料がかかるのに…単純に国保だけ導入は著しく公平性を欠くため猛反発にあうでしょう。
被用者でも退職者でも75歳以上になったら加入することになる後期高齢者医療から金融所得を反映させるというのは、後期高齢者医療が国保と似たような保険料の決め方なので導入しやすく、事務処理上の適用の容易さも影響したんだろうなと感じます。
そう考えると、この金融所得の反映の件を国保も社保も含めて現役世代にまで拡張するとなるとかなり大掛かりな改正になるので、もう少し議論に時間がかかるように私は感じます。
あと、個人的に引っかかるのは上記のホームページの資料に「資産」という言葉もわりとよく出てくるんですよね。
保有資産そのものを全加入者の保険料算定の基礎(賦課ベース)にするには資産把握の技術的難度、リスク資産の価格変動の問題、形成した資産に対する二重に負担を課す等、実務上・制度上の高いハードルが存在すると思いますが、以下の一文が記入されていることが気になります。
「資産保有による経済力の勘案については、金融所得の勘案に向けた取組を通じて対応するとともに、資産自体の保有状況を勘案した対応について、金融所得に関する取組の状況等を踏まえつつ、将来の課題として検討を行う。」
この件に関しては、自分の未来にもかなり関わってくるので今後も議論の行方を追いかけていきたいと思います。
